食用牡蠣の種類
食用の牡蠣には大きく分けて、マガキ属 (Crassostrea)とイタボガキ属 (Ostrea)の2つの種類があります。
マガキ属には、以下の3種があります。
マガキ(真牡蠣) Crassostrea gigas
最も一般的な種で、日本でカキといえばこの種類。冬の寒い時期に流通します。大型で夏でも生殖巣が発達しない「3倍体牡蠣」も開発され市場に出ている。大きさは普通のモノで3cm~12cm、北海道のサロマ湖などにはナガカキ、エゾガキと呼ばれる長径30cmのモノも存在します。日本から中国大陸にかけて分布し、日本産マガキを種ガキとしてアメリカ西海岸やフランス、オーストラリアなどにも移植されています。日本の産地で有名なのは、広島県・宮城県・岡山県など。韓国から輸入もされています。
イワガキ(岩牡蠣) Crassostrea nippona
岩牡蠣は「夏ガキ」とも言われ、7~8月に最も栄養を蓄えて美味しくなる、夏が旬の牡蠣。殻の色が茶色っぽく、一般的に真牡蠣に比べて大きいものが流通します。貝殻は分厚く、表面が桧皮葺状になっています。噛むと甘みが口に広がり、その後に適度な渋みを感じて、お酒のつまみには最適です。天然物と養殖物の両方がある。
スミノエガキ(住之江牡蠣) Crassostrea ariakesis
別名でヒラガキ、サラガキなどと呼ばれます。有明海沿岸で食べられますが、他のところへはほとんど出回りません。真牡蠣の近縁種ですが、貝殻の表面はゴツゴツしていなくて、やや滑らかでヒダが薄い。 身はしっかりとしていて美味しいです。
そして、イタボガキ属には、下記の2種があります。
イタボガキ(板甫牡蠣) Ostrea denselamellosa
表面が「桧皮葺」状でやや歪んだ円盤形をしている直径12cmほどのオストレア牡蠣です。
かつては多く食用にされ、能登半島や淡路島周辺が有名な産地でしたが、最近は生息数が激減していて、現在では瀬戸内海地方で僅かに市場に出回る程度で、絶滅危惧種の状態です。食用のみならず、貝殻が最上質の胡粉の原料となる点でも重要で、本種の復活と養殖技術開発の努力が続けられています。
ヨーロッパヒラガキ Ostrea edulis
ヨーロッパ原産で、イタボガキに似た外観で輪郭が丸くやや歪んだ円盤状で殻長・殻高は10cmかそれ以下で平たい貝。別名「フランスガキ」とも呼ばれています。 1970年代以降、寄生虫の発生などによって、最近では手に入れることが難しくなってきています。日本では宮城県唐桑町の舞根(もうね)などで僅かに養殖され、高級食材としてフランス料理店などに卸される。
かつてはヨーロッパ、特にフランスでカキと言えばこの種でしたが、1970年代以降、寄生虫などにより激減。需要をまかなうために日本産のマガキを輸入して養殖するようになりました。それ以来フランスなどで流通するカキの相当部分は日本由来のマガキだそうです。 味は岩牡蠣に似て濃厚な味わいです。