牡蠣の歴史
牡蠣の食用としての歴史は非常に古く、始まりは有史以前と言われています。日本全国各地の一万年前にも及ぶ縄文時代の「貝塚」の跡から、たくさんの牡蠣が見つかっています。貝塚とは、昔で言うところの“台所のゴミ捨て場”で、食べ残した貝殻の山のことですが、そこではアサリでもシジミでもなく牡蠣の殻が一番多く発見されています。また、 「古事記」や「延喜式」といった古文書にもたびたび登場していることから、私たちの祖先の時代から、かなりの牡蠣を食べてきた歴史がうかがわれます。
古代人が好んだ牡蠣は日本だけに留まらず、魚介類を生で食べる習慣のないヨーロッパでも昔から生で食べられています。かのフランス皇帝ナポレオンも牡蠣が大好物で、戦場で牡蠣を山のように食べたとか、ローマの英雄ジュリアス・シーザーも牡蠣が大好きで、イギリス海峡に侵攻したのは、実はテムズ河口で採れる良質の牡蠣が目当てだったなどと言われています。その他にもバルザック、リンカーン、釈迦、日本では武田信玄、瀬山陽などの歴史上の人物や英雄たちが牡蠣を好物にしていたことが、今に語り継がれています。
このように、牡蠣は古今東西を問わず、昔から圧倒的な人気を誇ってきました。